砂もないコンクリート 君は歩く僕は一歩後ろからたなびく青の葉が邪魔で仕方ないと笑った君はもういない瓦礫から仲間はずれ石ころを蹴飛ばして踏みつけて知らんぷり君は前だけを見ていて僕は君だけを見ている朝焼けと夕焼けの色彩を青空と水溜りの色彩を仕方ないなとひとつ流し目昨日見た夢と今日思いついた空想ノートに描いたいたずら君は明日へ歩いて行った砂もないコンクリート僕はここで立ち止まったままささやかな野の花に名前をつけて呼んだからかう君はもういない光るレンズか仲間はずれ寂しいアルバムをポケットがしわくちゃ君は前だけ見ていて僕は君だけを見ている朝露と太陽の隙間を星空と暁の隙間を仕方ないなと諦めずに踏むことの叶わない影と願っていた容もう君は気付いている二歩下がって 後は追わない僕の髪を撫でた君は君の腕を掴んだ僕は僕の耳に触れた君は君の背中にしがみついた僕はあのとき いちばん温かかった僕らはもういない